「産んできました」陣痛室にて

病院に到着しました。入院すると、分娩室に入れる状態になるまでは、陣痛室で待機するシステムになっています。
その前にちょっと新生児室を覗いてみました。中には産まれたてほやほやの赤ちゃんたち。か、可愛い…。でもきっとうちの子が一番可愛いに違いないと信じ、テンションを高めます。

NSTを行ったところ、胎児の心音は問題ありませんでした。陣痛は一応来てはいるけど、まだ弱いとのこと。ラミナリアというものを入れて子宮口を広げる措置をしながら待とうということになりました。陣痛促進剤とは異なり、ラミナリアは水分を吸うことで徐々に膨潤して子宮口を穏やかに広げていくそうです。
この時点で子宮口は4.5cm。経産婦はお産の経過が早いらしく、雑誌などには「陣痛発来から3時間で子宮口全開。2回いきんだだけでツルっと産まれた」などスーパー安産体験が載っていたりします。第1子で子宮口がなかなか開かず十数時間の陣痛(普通ですけど)を経験した私としては、スーパー安産への期待が高まります。

頑張れラミナリア、さあ来い陣痛!と期待をこめて時計を見ながら3時間。…まだ10分間隔なんですけど(泣)。
時計とにらめっこするのが嫌になったので、時間を測るのはやめて持参したMDを聴くことにしました。するといつしか1曲ごとに陣痛が来るように。時計を見ると5分間隔でした。気楽に構えた方がお産も進むのでしょうか。
お昼になったので昼食を頂きましたが、5分ごとに陣痛が来ている中で食事をとるのはなかなか大変です。しかし食べなければ体力が持ちません。5分ごとに箸を休めていきみを逃しました。

昼食後、再びNSTを装着しました。さすがに陣痛が強くなってくると、仰向けになっているのはかなり辛いです。経験が無い人には、お腹が痛くても体を丸めてうずくまれず「仰向けになって深呼吸しなさい」と言われている状態を想像してもらえばよいでしょうか。姿勢を変えると波形が乱れるのでしばらくガマンしなければなりません。
ところで、よくいきみのがしの呼吸法として知られる「ヒッヒッフー」ですが、サザンの「栞のテーマ」に合わせてやるとリズムがピッタリです。さすが黄金のハチロク。(素敵なバーディとかでもいいのですが)

NSTが終了し、ベッドの傍らにあった陣痛椅子に座ることができました。普通のイスとは逆向きにまたがるように座り、足はゆらゆら揺れるようになっています。おっ、これは楽しい(笑)。実際に座っている方が仰向けよりずっと楽で、会陰を押してもらうのに近い効果があるようです。腰をさすってもらうのにもよい体勢です。しかし、間もなく楽しいどころではない痛みが。
本気で痛くなってきた頃、見るからにベテラン、といった面持ちの婦長さんが診察に来てくれました。計測の結果、子宮口は8cm。「もう時間の問題よ」とのお言葉を頂きました。後から他の入院患者さんに聞いたのですが、この婦長さんが診察すると子宮口が開く、お産が進むというジンクスがあるそうです。婦長さんのゴッドハンドのおかげか、陣痛はついに2~3分おきになりました。

この辺まで来ると、もう呼吸法どころではありません。「ヒッヒッフーよ。」と言われても「フウゥゥゥウゥウゥ!!」と叫んでいるだけです。子宮口がしっかり開くまで力が入らないようにしなくてはいけない、と理屈ではわかっているのですが、痛いものはどうしようもありません。「とりあえず息さえ吐けていればOK」という自己流呼吸法?を実践しました。ダンナには「叫びだしたら腰を思いっきりさすって」と頼み、ひたすら腰をさすってもらいました。

「ちょっと早いけど分娩室に移動する?」と助産師さんに声をかけてもらいましたが、娘の出産の時は分娩室でも子宮口全開にならず、陣痛促進剤を打ちながら分娩台の上という苦しい体勢でいきみ逃しに悶絶していた辛い記憶があるので、「も、もう少し頑張ります…」と陣痛椅子にしがみついていました。
しかし、娘の保育園のお迎え時刻は刻一刻と近づいてきます。ここまで来たらダンナにも産まれる子供の顔を見てもらいたいし、赤ちゃん誕生を待っている娘にも産まれたことを報告したいので、早く産まなければという気持ちになってきました。まだ陣痛の間隔も開いていて、痛みも「まだまだこんなもんじゃない」とは感じていましたが、覚悟を決めて分娩室に移ることにしました。

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